本記事では台湾での構造設計について紹介します。
その中でもまず最初に確認すべき荷重条件について説明します。
構造種別は鉄骨構造の建物を対象とします。
鋼構造の許容応力度法の設計基準はこちらの記事にまとめております。
本記事では、鋼構造の限界耐力法の設計基準について、説明します。
少し異なるので、注意が必要です。
台湾での荷重条件
鋼構造の限界耐力法の設計基準(台湾)に示されている荷重条件を紹介します。
1.4D
1.2D+1.6L
1.2D+0.5L±1.6W
1.2D+0.5L±E
0.9D±1.6W
0.9D±E
ここで3,4番目の荷重組合せを検討する際、車庫や公共の場所として使用または0.5tf/m2を超える積載荷重(L)に該当する場合は1.0Lとして計算します。
D = 固定荷重
L =積載荷重
W=風荷重「建築物の耐風設計基準及び解説」の規定に基づく
E=地震荷重「耐震設計基準・建築解説」の規定に基づく(初降伏地震力増幅係数yαは1.0)
日本との類似点
日本との類似点は下記に示す通りです。
荷重を組み合わせる場合、風力と地震力を同時に考慮する必要はありません。
日本との相違点
続いて、日本との相違点を下記に示します。
各荷重(固定荷重、積載荷重、風荷重、地震荷重)に係数がかけられることが日本との大きな相違点です。
日本の場合は積雪荷重のみ地域によって係数がかけられますが、台湾では地震荷重、風荷重などにも係数がかかっていることがわかります。
また、設計法によっても荷重の考え方が異なるようです。
本記事では限界耐力法の場合を示していますが、許容応力度法では係数が異なるようです。
米国の LRFD 仕様では風荷重の係数は 1.3となるようです。
続いて地震荷重についてです。
「建築物の耐震設計基準と解説」では、鋼構造物の許容応力度を設計する場合にはyα値を1.2、鋼構造物の極限設計を設計する場合にはyα値を1.0とすることが推奨されています。
したがって、本基準ではyα を 1.0 としたときの地震力荷重を E と定義しますので、地震荷重の荷重係数は 1.0/1.2=0.8 となります。
また、地震荷重・風荷重を考える際に固定荷重・積載荷重の係数のパターンが2通りあります。
これにより、固定荷重・積載荷重の比率によって異なる結果となるので注意が必要です。
まとめ
本記事では、台湾の荷重条件(組み合わせ)について、日本と比較しながら説明しました。
どのような荷重ケースについて検討することが必要かが分かったかと思います。
限界耐力法と許容応力度法で荷重の考え方も異なるので、どの設計方法で設計を進めるか早期に決めるのがカギになりそうです。