小梁は何のための部材でしょうか?
小梁の役割はスラブを支えること・スラブの荷重を大梁に伝えること・大梁の横補剛材などがあげられます。
本記事では、RC小梁の設計方法について説明します。鉄骨小梁については他の記事で書いてあるのでそちらを参考して下さい。鉄骨とRCでは違いがあるので注意が必要です。
荷重の設定
まず、最初に小梁が負担する長期荷重について考えよう。
小梁はスラブを支えているためスラブからの荷重を受けます。
RC造の場合、スラブと梁は一体となるように作られるため基本的にスラブからの荷重は亀の子状に伝わります。
基本的に亀の子状に荷重が伝わると書いた理由は、短辺に対する長辺の比が大きくなると二辺固定のスラブと同様に長辺に荷重は流れます。
荷重が流れる方向から、小梁の負担する荷重が決まります。
設計用応力の算定
負担する荷重がわかれば、その荷重に対してM(モーメント)、Q(せん断力)を算定します。
鉄骨小梁は端部がピンとして計算を行うが RC小梁では端部をピンでつくることは出来ないため、固定度を考える必要があります。
端部M、中央Mの算定方法は固定モーメント法で算出することが出来ます。
1スパンやスパン長が同じ場合の連続スパンは簡略的に求める方法があるので、本記事ではその場合について示します。
固定モーメント法の算定方法は 固定モーメント法の算定方法(構造力学の基礎)の記事に示しているので参考にして下さい。
C:固定端の端部モーメント、Mo:単純梁の中央モーメント、Qo:単純梁のせん断力
C、Mo、Qoについては構造力学の基礎より求められます。
本記事では等分布荷重の場合について示しております。
断面算定
M,Qを満足できる断面を決めれば小梁の設計は完了します。
ここで、注意が必要なことは端部と中央で配筋を変える場合の鉄筋のカットオフ長さです。
カットオフ長さの算定は付着応力度について検討することで求まります。
必要なカットオフ長さと小梁スパンの関係によっては端部と中央で配筋を変えられない可能性があるので注意が必要です。
設計例
主筋の算定式:at=M(設計用モーメント)/ft・j
あばら筋の算定式:aw=pw・b・x
Qa=bj(αfs+0.5wft(pw-0.002))>Q(設計用せん断力)
まとめ
本記事ではRC小梁の設計方法について説明しました。
RCの場合は鉄骨と違い端部はピンとならず固定度を見込む必要があります。
その際単スパンか多スパンかで設計用モーメントが異なりますので注意しましょう。
また、本記事で示した簡易式はスパンが等しいときです。
スパンが異なる際は固定モーメント法で解く必要がありますの注意して下さい。
主筋とせん断補強筋が多く必要になる場合は梁断面の大きさを見直すことも必要ですので断面についても考えるようにしましょう。