小梁とは?何のためにあるか理解して設計をしよう!~鉄骨小梁の設計方法の解説~

小梁は何のための部材でしょうか?

小梁の役割はスラブを支えること・スラブの荷重を大梁に伝えること・大梁の横補剛材などがあげられます。

本記事では、鉄骨小梁の設計方法について説明します。RC小梁については他の記事で書いてあるのでそちらを参考して下さい。鉄骨とRCでは違いがあるので注意が必要です。

鉄骨小梁の設計

荷重の設定

まず、最初に小梁が負担する長期荷重について考えよう。

小梁はスラブを支えているためスラブからの荷重を受けます。

スラブの設計で示しているように、スラブの種類により荷重の伝達方向が異なります。

例えば二辺固定のスラブの場合、固定されている方に荷重は流れます。四辺固定の場合、亀の子状に流れます。

この荷重が流れる方向から、小梁の負担する荷重が決まります。

短期荷重としては、屋根にかかる風荷重を考える必要があります。長期も短期も荷重が変わるだけで設計方法は変わらないため、ここでは割愛します。

ちなみに、地震荷重は小梁は端部がピンとなってるため荷重がかかることはありません。

設計用応力の算定

負担する荷重がわかれば、その荷重に対して単純梁のM(モーメント)、Q(せん断力)を算定します。

M,Qの算定は構造力学の基礎を参照してください。

断面算定

M,Qを満足できる断面を決めれば小梁の設計は完了です。

断面を決める際の許容応力度fbは座屈長さより低減がかかってしまうため、注意が必要です。

また、RCスラブの場合は圧縮側フランジを拘束し、小梁の座屈を防止してくれるためfbの低減は必要ありません。

設計例

鉄骨小梁の接合部の設計

鉄骨小梁の接合部の設計とはボルト接合部の設計になります。

鉄骨小梁の接合部にかかる力はせん断力になります。

設計用せん断力に対して許容できるようにボルトの本数や径を決めます。

小梁部材自体はせん断力で断面が決まることはほとんどないと考えて良いでしょう。

設計例

ここではボルトの摩擦接合に対してのみ検討しています。

詳細の検討ではガセットのせん断力、ガセットのはしあきで決まるせん断力、ボルト自体のせん断力などを検討しその最小値としなければなりません。その検討例についてはいづれ他の記事にて説明したいと思います。

参考スプレットシート

ポイント

ここで私が実務で実際に行った際のポイントを紹介します。

  1. 合成梁の検討:スラブの剛性を考慮し、小梁の断面二次モーメントを割増
           →たわみで決まる場合は鉄骨数量の削減につながります。
  2. 振動の検討:上記の合成梁であらかじめスラブの剛性を考慮した場合などは要注意!!!

まとめ

本記事は鉄骨小梁の設計方法について記載しました。

鉄骨小梁の設計では、Mとδの検討が重要になります。

Mとδどちらで断面が決まっているのかは把握しておくことが大切です。

また、本記事では鉄骨小梁の配置計画について説明しておりませんが、実際の設計ではデッキプレートのスパンなどにより鉄骨小梁の配置間隔が決まるので注意が必要です。

また、鉄骨小梁では接合部の設計も行う必要があります。

鉄骨小梁の接合部にはせん断力がかかります。

小梁断面に対して同等のせん断耐力を持つようにボルトを決めると接合部の検討は実質必要なくなります。

標準化して使うことで効率的に設計を行うことが出来ます。

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