台湾で建築を作る! 地震力算定のポイントを理解しよう!!!:耐震設計規範

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はじめに

この記事では、台湾の建築基準 建築物耐震設計規範 に基づき、地震力の基本的な算定方法をわかりやすく解説します。

「この建物、地震が来ても本当に大丈夫?」

そんな疑問を持ったことはありませんか?台湾でも、建物の安全性を確保するために、正しく地震力を算定し、適切な耐震設計を行うことが不可欠です。しかし、

✅ 地震力ってどうやって計算するの?
✅ 中小度地震時外力(V*)って何?
✅ 建物のどこにどれくらいの力がかかるの?

といった疑問を持つ人も多いのではないでしょうか?

本記事では、台湾の建築基準「建築物耐震設計規範」 に基づき、地震力の基本的な算定方法を初心者にもわかりやすく解説します。

✔ 最小地震時外力(V)の求め方
✔ 中小度地震時外力(V*)の求め方
最大考慮地震時外力(Vm)の求め方
✔ 各階の水平力 (Fi) やせん断力 (Vi) の算定方法

といったポイントを実務目線で丁寧に説明するので、この記事を読めば、地震力の計算がスムーズにできるようになります!


地震力算定の全体像

台湾って地震は結構あるの?
耐震設計って必要なの?

確かに台湾は日本ほど頻繁には発生しませんが、他東南アジアと比べると比較的発生するほうです。だから、耐震設計は無視できないんです。

なるほど。じゃあ、台湾の耐震設計ってどんな基準で行われているの?

台湾では 建築物耐震設計規範 という基準に基づいて耐震設計を行います。

へぇ! 具体的にどうやって地震力を算定するの?

簡単に説明すると、次のステップで地震力を求めます。

  1. 建物全体に作用する水平方向の力(最小地震時外力V・中小度地震時外力V*・最大考慮地震時外力Vm)を計算
  2. 各階に分配される水平力(Fx)を求める
  3. 各階のせん断力(Vx)を計算する

第2章に記載されている内容で適用範囲は下記の通りだから気を付けて。
高さ50m以下かつ15階建て未満の規則的な建築物
不規則な建築物の場合は動的解析が必要だよ。


ステップ 1: 最小地震時外力(V) の計算

最初に、最小地震時外力V を計算します。
これは、再現期間約30年の中小地震に対して、構造部材が弾性範囲内であることを目的とします。

最小地震時外力V
    最小地震時外力V: \[ V = \frac{S_{aD}I}{1.4\alpha_yF_u} W \] ただし、 \[ \left( \frac{S_{aD}}{F_u} \right)_m = \begin{cases} \frac{S_{aD}}{F_u} & ; \quad \frac{S_{aD}}{F_u} \leq 0.3 \\ 0.52 \frac{S_{aD}}{F_u} + 0.144 & ; \quad 0.3 < \frac{S_{aD}}{F_u} < 0.8 \\ 0.70 \frac{S_{aD}}{F_u} & ; \quad \frac{S_{aD}}{F_u} \geq 0.8 \end{cases} \] したがって、   \[ V = \frac{I}{1.4\alpha_y} \left( \frac{S_{aD}}{F_u} \right)_m W \]

地震力の大きさを決める重要な数値なんだね。

各項目の説明

次に、各項目の説明を行います。

  • SaD:工事地点設計水平スペクトル加速度係数(表2-5(a)参照
    工事地点における水平方向の設計スペクトル加速度と重力加速度gとの比率を指す。
    台北盆地については本章第七節の規定に従い、それ以外の一般地点および近隣断層地点については本章第三節から第六節の規定に基づいて定めることができる。
  • I:用途係数
    本章第八節の規定による。
  • W:建築物の全静荷重
    可動間仕切りについては、少なくとも75kgf/m²の重量を考慮すること。
    一般倉庫や書庫については、積載荷重の少なくとも1/4を考慮すること。
    水槽やプールなどの容器については、内容物の全重量を考慮すること。
  • αy:初期降伏地震力増幅係数
    本章第九節の規定による。
  • Fu:構造システム地震力低減係数(式2-12参照
    本章第九節の規定による。

いろいろな係数・変数があるのですね。
複雑で覚えるのは大変そうなので、参照節をメモしておきます。

次に、SaDFuを算出するために必要な、基本振動周期 T を求めます。これは建物の高さや構造形式によって変わります。簡易的には以下の式で近似できます。

T = Ct ⋅ H^(3/4)

  • Ct:構造種別ごとの係数(S造:0.085、RC造:0.07)
  • H:建物の高さ (m)

式がいっぱいありますね。
SaDの求める際に出てくる係数・変数についても教えてください。

もちろん!
SaDを求めるの出てくる係数・変数はT0D・SDS・SD1だね。
次のように求めるよ。

    \[ S_{DS} = F_a S_S^D \]

    \[ S_{D1} = F_v S_1^D \]

    \[ T_0^D = \frac{S_{D1}}{S_{DS}} \]

Fuの求める方法についても教えてください。

もちろん!
Fuを求めるの出てくる係数・変数はR・Raだね。
次のように求めるよ。

    近隣断層地域付近:

    \[ R_a = 1+\frac{R-1}{1.5} \]

    台北盆地:

    \[ R_a = 1+\frac{R-1}{2.0} \]

    R値:地震力に抵抗するためのさまざまな構造システムに関連。(表 1-3参照)

ステップ 2: 中小度地震時外力(V*) の計算

次に、中小度地震時外力V*を計算します。
これは、再現期間約475年の設計地震に対して、構造部材に降伏が生じても許容靭性容量内であることを目的とします。

中小度地震時外力V*
    中小度地震時外力V*:

    近隣断層地域付近:

    \[ V^* = \frac{I F_u}{4.2 \alpha_y} \left( \frac{S_{aD}}{F_u} \right)_m W \tag{2-13a} \]

    台北盆地:

    \[ V^* = \frac{I F_u}{3.5 \alpha_y} \left( \frac{S_{aD}}{F_u} \right)_m W \tag{2-13b} \]

    ただし、2.4節規定に該当する近隣断層地域において、(2-13)式の中で近隣断層の影響を考慮する必要はなく、直接的に表2-1の値を使用して計算すること。

また、違った式になるのですね。

ステップ 3: 最大考慮地震時外力(Vm) の計算

そして、最大考慮地震時外力Vm を計算します。
これは、再現期間約2500年の最大考慮地震に対して、構造部材が規定の靭性容量内であることを目的とします。

最大考慮地震時外力Vm
    最大考慮地震時外力Vm:

    \[ Vm = \frac{I}{1.4 \alpha_y} \left( \frac{S_{aM}}{F_uM} \right)_m W \]

    ただし、

    \[ \left( \frac{S_{aM}}{F_{uM}} \right)_m = \begin{cases} \frac{S_{aM}}{F_{uM}} & ; \quad \frac{S_{aM}}{F_{uM}} \leq 0.3 \\ 0.52 \frac{S_{aM}}{F_{uM}} + 0.144 & ; \quad 0.3 < \frac{S_{aM}}{F_{uM}} < 0.8 \\ 0.70 \frac{S_{aM}}{F_{uM}} & ; \quad \frac{S_{aM}}{F_{uM}} \geq 0.8 \end{cases} \]

これは、最小地震時外力Vの算定式に似ていますね。

そうだね!
DがMの変数に変わっているよ。
各項目の説明は下記を参照してね。

  • SaM:工事地点最大水平スペクトル加速度係数(表2-5(b)参照
    断層近傍エリアでは、SaM を計算する際に断層近傍の影響を考慮する必要がある。
  • FuM:許容復元力能力Raを復元力能力R値に置き換えて得られる構造システム地震力低減係数Fu値である。

    \[ S_{MS} = F_a S_S^M \]

    \[ S_{M1} = F_v S_1^M \]

    \[ T_0^M = \frac{S_{M1}}{S_{MS}} \]

ステップ 4: 各階の水平力 (Fi) の分布

次に、求めた Fb を建物の各階に分配します。

最上階 Ft = 0.07T・V
各階  Fx=(V-Ft)Wxhx/ΣWihi

各項目の説明

  • T:固有周期
  • V:設計用地震力
  • Wx:x階の質量
  • hx:x階の高さ

ステップ 5: 各階のせん断力 (Vi) の計算

最後に、各階のせん断力 Vi を求めます。

Vx = ∑(Fk) (k ≥ x)

つまり、上の階の地震力をすべて合計したものが、各階のせん断力になるんだね。

その通りです! これで、建物全体の地震力が求められました。
階が下がるほどせん断力は大きくなるのが特徴です。


まとめ

地震力の算定は、建物の耐震設計における重要なプロセスです。本記事では、

  1. 建物全体に作用する水平方向の力(最小地震時外力V・中小度地震時外力V*・最大考慮地震時外力Vm)の計算方法
  2. 各階に作用する水平力 (Fx) の求め方
  3. 各階のせん断力 (Vx) の計算手順

について解説しました。

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