本記事では細長比について説明していきたいと思います。
細長比とは?
細長比とは文字通りその部材が細くて長いか、太くて短いか示す数値のことです。
値が大きいと細くて長い部材となります。
細長比とは下記の式で算定されます。
λ=Lb/i
λ:細長比 Lb:座屈長さ i:断面二次半径
座屈長さとは?
続いて座屈長さについて説明します。
座屈長さとは部材の長さとは違い、座屈(弧を描く)が生じる長さのことです。言葉だと説明しにくいので、図を示します。
座屈長さは境界条件により同じ部材長さ・断面でも異なります。
下記に覚えておくべきものを示します。
図より 拘束されていると座屈長さは実際の材長より短くなり、
自由であると実際の材長より長くなる ことがわかります。
断面二次半径とは?
次に断面二次半径について説明します。下式にて算定することができます。
iy=√Iy/A
iy:Y軸周りの断面二次半径 Iy:Y軸周りの断面二次モーメント A:断面積
細長比を算定するにあたり重要となるのはY軸周り(弱軸周り)の値となります。
細長比は座屈と密接な関係であるからです。座屈の中でも横座屈という座屈と密接な関係であります。横座屈については他の記事にて詳細に説明しますが、簡単に言うと弱い軸周りに曲げが生じてしまう現象です。
つまり、部材が太い(幅が大きい)ほど横座屈しにくいと言うことになります。
まとめ
ここまでの説明で細長比の算定はできるようになったと思います。
細長比の値が小さい=座屈長さが小さい=断面二次半径が大きいほど横座屈が生じにくい部材となります。この関係が非常に大切であるため、覚えておきましょう。
続いて、細長比の制限などについて説明したいと思います。
限界細長比とは?
限界細長比とは弾性領域を超えて非弾性領域になる細長比のことです。つまり、座屈耐力が降伏耐力を超えてしまいます。
前章で説明した細長比を用いて座屈耐力を算定しますが、その式は弾性領域までしか検討できない式です。
本記事では簡単な説明で終わりますが、詳細については他の記事で説明したいと思います。
実際の実務では、弾性領域で座屈耐力が降伏耐力より大きくなると横座屈は考えない事が多いと思います。座屈耐力と降伏耐力の最小値で部材を設計するからです。
細長比の制限値
細長比は座屈耐力と密接な値です。座屈は非常に不安定な現象です。部材に座屈が生じることは極力避ける必要があります。
そのため、建築基準法で制限が定められています。
柱の細長比 λ=200以下
梁の細長比 λ=250以下
柱の細長比のほうがより厳しい制限となっています。なぜなら、梁には基本的には圧縮力は作用しませんが、柱は常に圧縮力が作用しているからです。常に圧縮力を作用していると言うことは建物を支えていると言うことです。座屈が生じると建物の構造が破綻する恐れがあります。
まとめ
本記事では細長比について説明しました。それと付随する座屈長さ・断面二次半径についても説明しました。
細長比は座屈耐力に密接な関係であり、制限が設けられていることを学んだと思います。この制限は法律で定められているため、決して破ることはできないので忘れないようにしましょう。