本記事ではRC在来スラブの算定方法について書いていきます。
RC在来スラブとはRC造のスラブのことで、木製の型枠を用いてスラブを打設します。
スラブは二次部材にあたりますが、荷重はスラブから梁・柱・基礎・地盤と流れていくため、スラブの仕様・構造が変わるとその他の部材も変わる可能性があるので注意が必要です。
そのほかのスラブの紹介はこちらを参考ください。
RC在来スラブの算定の手順を以下に示します。
①設計用荷重の算定
②荷重伝達方向の確認
③設計用応力の算定
④最小スラブ厚の算定
⑤スラブの断面算定
①設計用荷重の算定
最初に設計用荷重の算定を行います。
算定方法は固定荷重の算定、積載荷重の算定を参考にして下さい。
以下に一例を示します。
②荷重伝達方向の確認
次に荷重伝達方向の確認を行います。これにより設計用応力の算定式が異なるためです。
RC在来スラブの場合は基本的に4辺固定です。
外周部もRCの大梁に囲まれているため、固定とみなして問題ないでしょう。
一応、大梁の検討の際にスラブ端に作用するモーメントにてねじれの検討をして確認してみるとよいでしょう。
しかし、短辺と長辺の比が大きいと一方向版(長辺2辺固定)とする場合があります。
これは長辺が短辺に対してかなり大きいと荷重のほとんどが長辺に流れると考えられるためです。
本記事では4辺固定の場合について検討します。
③設計用応力の算定
荷重伝達方向を確認すると次は設計用応力を求めます。
4辺固定の場合を以下に示します。
④ 最小スラブ厚の算定
次に最小スラブ厚の算定を行います。
最小スラブ厚を確保していなければNGなので早い段階で確認しておくことをおすすめします。
以下に最小スラブ厚の算定方法を示します。
ここで一つ、覚えておきたいポイントを示します。
それは、建築基準法とRC規準の違いです。建築基準法は法律であるため、必ず守る必要があるルールです。
上記で示した最小スラブ厚はRC規準のものです。
つまり、建築基準法を守れば上記の式は必ずしも満足する必要はありません。
コストが厳しいときは考えて設計する必要があります。
下記に建築基準法・RC規準・せん断力で決まる場合について示します。
建築基準法
80mm以上かつlx/40以上
(lx:短辺方向スパン)
RC規準
80mm以上かつ
0.02×(λ-0.7)/(λ-0.6)×(wp/10+1+ lx/10) lx ×1000以上
片持ちスラブの場合
80mm以上かつlx/10以上
軽量コンクリートの場合
100mm以上かつ
上記の1.1倍以上
せん断力で決まる
設計用せん断力Qに対してコンクリートのみで許容できるように設計します。
τ=Q/(b・j)
その他の検討内容として使用上の支障検討があります。
この検討についてもスラブ厚が影響します。
建築基準法では上記のスラブ厚より厳しいlx/30で満足すればよいとしていますが、
RC規準の場合は、たわみの検討を行います。
δ=1/32・λ4/(1+λ4)・w・lx4/Et3 で求め、lx/250以下であることを確認します。
たわみを検討する際に注意が必要で、変形増大係数が存在します。
構造形式 | 変形増大係数 |
S造 梁 | 1 |
S造 デッキプレート | 1.5 |
RC造 床 | 16 |
RC造 梁 | 8 |
SRC造 | 4 |
そのため、RC造の在来スラブの場合、左記の16倍を考慮して,16×250の1/4000以下であることを確認します。
⑤スラブの断面算定
最後にスラブの断面算定を行います。
まとめ
本記事ではRC在来スラブの算定方法について書きました。
スラブの断面算定をする上で注意が必要なことはスラブ厚の算定です。
スラブ厚を変更すると設計用荷重が変わってしまうので、はじめから算定しなおす必要があります。
配筋の注意点としてはD10だけだと鉄筋がたわむ可能性があり施工が難しくなるので、D13を混ぜて配筋することが多いということです。
こちらがおすすめのRC造の参考書になります。
【送料無料】 実務から見たRC構造設計 改訂版 / 上野嘉久 【本】 価格:9,350円 |
鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説2018改定 [ 日本建築学会 ] 価格:7,480円 |
【送料無料】 建築物の構造関係技術基準解説書 2015年版 / 国土交通省国土技術政策総合研究所 【本】 価格:8,800円 |