1. はじめに
今回のブログでは、ベトナムの風荷重設計のポイントを、現地のエンジニアに教えてもらいながら学ぶ形でお届けする。**日本との違いや、設計の落とし穴、そして実際に使う基準「TCVN 2737:2023」**についても詳しく解説していくぞ。
ベトナムでの構造設計に興味がある人、日本の設計との違いを知りたい人、そして現場で役立つ実践的な知識を学びたい人——ぜひ一緒に、風の力を読み解いていこう!
ベトナムでの風荷重について
1.はじめ

日本では経験がありますが、ベトナムの基準には詳しくなくて…特に風荷重について学びたいんです。

なるほど。ベトナムは台風の影響も受けるので、風荷重の考慮はとても重要です。今日は、TCVN 2737:2023とQCVN 02:2022/BXDに基づいて、風荷重の計算方法を説明しますね。
2. 関連基準

ベトナムでは、風荷重を計算する際に主に2つの基準を参照します。
- TCVN 2737:2023: 建物と構造物に対する荷重と作用の一般基準
- QCVN 02:2022/BXD: 建物の自然条件に関する国家技術基準

日本で言うと、例えば建築基準法と同じような感じですね。

そうですね。特に、TCVN 2737:2023では風荷重の計算方法や係数が詳細に規定されています。
3. 風荷重計算の基本

風荷重の計算は、次のステップで行います。
- 基準風速(W0)の決定
- 粗度区分の設定
- 高さ補正係数(k(ze))の計算
- 建物剛性影響係数(Gf)の計算
- 風圧係数(C)の決定
- 標準風圧(Wk)の計算
- 設計用風圧(Wd)の計算

思ったよりも多くのステップがあるんですね。

大丈夫、一つずつ見ていきましょう。
4. 各ステップの詳細解説
4.1. 基準風速(W0)の決定

まず、基準風速(W0)は以下の式で計算されます。
W0=0.0613×V02W0 = 0.0613 \times V0^2
ここで、V0は20年再現期間の3秒間平均風速(高さ10m、地形B)。

基準風速は、地域ごとに異なるんですね?

そうです。QCVN 02:2022/BXDには地域ごとの風速データが載っています。
4.2. 粗度区分の設定

次に、地形の違いを考慮するため、粗度区分を設定します。
区分 | 地形の例 |
---|---|
A | 海岸や平坦な地形 |
B | 農地、草原 |
C | 都市部、森林 |

都市部の高層ビルなら、C区分ですね。
4.3. 高さ補正係数(k(ze))の計算

高さ補正係数(k(ze))は、地表面の影響を考慮して計算します。
k(ze)=2.01×(zezg)2αk(ze) = 2.01 \times \left(\frac{ze}{zg}\right)^{\frac{2}{\alpha}}

建物の高さが高くなると、風圧も増加するんですね。
4.4. 風圧係数(C)の決定

風圧係数(C)は、建物の形状や風向に応じて決まります。
構造物 | 風圧係数 |
---|---|
高層ビル | -0.8~1.2 |
片流れ屋根 | -1.0~0.5 |
4.5. 設計用風圧(Wd)の計算

最後に、設計用風圧(Wd)は以下の式で求めます。
Wd=γf×WkWd = \gamma_f \times Wk

信頼係数(γf)が適用されるんですね。
5. 設計上の注意点

最後に、設計で気を付けるべきポイントをいくつか紹介します。
- 地域特性の考慮: 風速は地域によって異なるので、QCVN 02:2022/BXDを確認する。
- 建物形状の影響: 風圧係数を適切に選定する。
- 荷重組み合わせ: 地震荷重との組み合わせも検討する。

なるほど。思っていたよりも奥が深いですね!

ベトナムの気候や基準を理解すれば、スムーズに設計できるようになりますよ!
まとめ
本記事のまとめを下記に示す。
- ベトナムの風荷重設計はTCVN 2737:2023とQCVN 02:2022/BXDに基づく。
- 基準風速の決定、粗度区分の設定、高さ補正係数の計算が重要。
- 風圧係数と信頼係数を適切に設定し、設計用風圧を計算する。