本記事では私が大梁の断面を設計する上で苦労した点について説明したいと思います。
大梁の断面を決める際には応力・たわみのほかに架構全体の大梁の構造計画を行う必要があります。
一つ一つの大梁をそれぞれ別に断面を決めてしまうと接合部や小梁の配置計画を行う際に後戻りが発生してしまいます。
後戻りが発生して断面を変更する際には意匠設計や設備設計にも影響を与えてしまうため、非常に注意が必要となります。
私自身も総合的に構造計画をすることが出来ず後から大梁の断面を変更せざる得ない状況を作ってしまい、他の設計の方に迷惑を掛けてしまったことがあります。
そのため、本記事では私と同じようなことが起きないように私自身がポイントだと思うことについて説明していきます。
注意すべき事項
1.たわみ・応力
2.仕口部の納まり
3.保有耐力横補剛
1.たわみ・応力
まず最初に求める必要があるものはたわみと応力です。これは当たり前のことなので特に説明は行いません。
たわみ・応力を満足するように設計し、たわみと応力のどちらで断面が決まるのか把握しておくことが大切です。
2.仕口部の納まり
二つ目の注意すべき点は仕口部の納まりです。
X方向、Y方向で梁せいが異なるものを使用する際に注意が必要です。
柱梁接合部はダイアフラムを設けて柱梁を接合します。
このダイアフラムの間隔は施工上150mm以上あける必要があります。
例えばX方向の梁せいを700とした場合、Y方向の梁せいは同じ700とするか150以上の差が生じる550以下か850以上にする必要があります。
この条件を架構全体で成り立つように大梁の構造計画を行う必要があります。
その条件のもと、最も合理的な断面計画を行うことが重要となります。
3.保有耐力横補剛
最後に注意が必要なことは保有耐力横補剛の横補剛の数についてです。
先ほどの2.の条件で大梁の断面をあげてしまうと横補剛材の数が足りなくなってしまうことがあります。
細幅のH形鋼を使用するか中幅のH形鋼を使用するか判断が必要になってきます。
単純に中幅を使用することで保有耐力横補剛を満足させることは可能ですが、鉄骨量が増えてしまいます。
大梁の構造計画とともに小梁の構造計画もあわせて合理的な構造計画を行う必要があります。
参考として、小梁の数が多い大梁を細幅とし小梁の数が少ない方向の大梁の梁せいを小さくし・中幅を選択肢に入れることを意識して私は設計しています。
例題
まとめ
本記事では大梁の構造計画について説明しました。
基本的な断面算定(たわみ・応力)は当然ですが、架構全体として仕口部の納まり・横補剛材の数や配置なども考慮して大梁の構造計画を行う必要があります。
大梁などのメイン架構は構造だけでなく、意匠や設備にも影響が出るので断面を決める際には変更が生じないように細心の注意が必要です。
本記事で説明した注意すべきポイントはあくまで私が設計する上で注意している点です。
他にも注意すべき点はあるので、各自勉強しながら構造計画を行うことが大切です。
その上で私の記事を参考にしていただけるとありがたいです。