CFTの柱を採用する際の注意点について紹介したいと思います。
私がCFT柱を設計する際に検討した方法について紹介したいと思います。
参考にした参考書・基準書は「CFT造技術指針・同解説」です。
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柱の軸力制限
変形性能を確保するために柱の軸力制限が決められています。
基本的には柱の圧縮耐力(No=cA ・ Fc+ sA・sσy )の40%以下としています。
ただし、終局時に建物全体が座屈により層崩壊しないことを確認することとしています。
これは細長比が大きい柱についてさらに厳しい条件が必要であるということです。
また詳細な検討により、層崩壊しないことを確認できれば軸力制限を緩和することができます。
細長比の範囲について
柱が座屈しないことを確認すればよいので、細長比が重要な条件になってきます。
ここで細長比によって短柱・中柱・長柱に分けられています。
- 短柱:ho/D≦6.0
- 中柱:6.0<ho/D,Lk/D≦12.0
- 長柱:12.0<Lk/D≦30.0
ho:柱長さ
Lk:座屈長さ
D:柱せい
1.短柱の検討
限界部材角Ru算定法に基づき、Ru≧0.02となる軸力比とします。
角形柱の場合について本記事は説明します。
Ru=(3.25-5N/No+800n・(t/B)^2 ・ (325/sσy)^1/2)/100
n=1/3 ・ (4.0-Fc/39)≦1.0
No=sA ・sσy +cA ・Fc
N:軸力
t:柱板厚
B:柱幅
sσy:鋼管の許容応力度
Fc:コンクリートの許容応力度
sA:鋼管の断面積
cA:コンクリートの断面積
一般的には軸力比の制限値は70%以下となります。
2.中柱の検討
中柱は短柱の場合と長柱の場合の軸力制限値を線形保管した数値が軸力比の制限値となります。
その際、短柱はho/D=6.0→Lk/D=6.0として安全側の検討とするか、Lk/D=6.0×Lk/hoとするかは判断が必要となります。
前者で検討しておけば安全側となるので、問題はないと思います。
3.長柱の検討
長柱の場合の軸力比の制限値は下記の式より求めることができます。
ny・fλc^2≦0.8×0.25
fλc=(No/Ne)^1/2
No= sA ・sσy +cA ・Fc
Ne=π^2・sE・sI/Lk^2+fcNcr
fcNcr:コンクリート部の座屈耐力→カラムカーブによる
Lk/D=12.0の場合は 軸力比の制限値は40%以下となります。 (角形柱の場合)
細長比を小さくする方法
上記の軸力制限を改善する方法として私は細長比を小さくする方法についてスタディしました。
方法としては以下の2点があげられると考えました。
①柱せい・幅を大きくする
②座屈長さを小さくする(固定度を大きくする)
①については単純な方法であり、柱の断面積も大きくなるので可能であれば採用したいが容易なことではないと思います。
そこで②の方法について検討を進めました。
一つ目に考えたのは柱に取り付く梁の断面性能を増大させることです。
梁の板厚を大きくすることで固定度を大きくし、座屈長さを小さくすることを考えました。
二つ目は柱脚の固定度を大きくすることで、最下層が最も軸力制限が厳しくなるので柱脚の選定についても考えました。
固定度を大きくするとその分負担する地震力が大きくなり、軸力の増減も大きくなるので注意が必要です。
軸力比が大きくなる層の梁の断面性能を大きくし、そのほかの上階の梁はぎりぎりまで断面性能を小さくして、柱軸力のコントロールも行いました。
以上より、柱の軸力制限をクリアしてFAランクとして設計しました。
まとめ
本記事ではCFTの軸力制限について説明しました。
CFT柱の変形性能を確保するために軸力比および細長比は重要な要因となります。
変形性能ということは部材ランクに関係してきますので、保有水平耐力時のDs値が妥当であるか確認を忘れないように注意してください。
最後には改善方法についても記載しましたので、ご参考にしてください。