耐震設計の第一歩!地震力の基礎と計算のポイントをわかりやすく解説

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はじめに

地震大国・日本では、建物の耐震設計は避けて通れない重要なテーマ。でも、「地震力の算定」と聞くと、難しそうで身構えてしまう人も多いのではないでしょうか?本記事では、地震力の計算方法を対話形式でわかりやすく解説します。上司から主人公へと教える形で、地上部分と地下部分の計算方法、そして地震力と層せん断力の関係まで、順を追って学んでいきましょう!


地震力の算定

上司、地震力の算定について教えていただけますか?

もちろん。地震力の算定は、建物の安全性を確保するために非常に重要なプロセスです。まず、地震力とは地震時に建物に作用する力のことで、これを適切に計算することで、建物の耐震性能を評価できます。

具体的には、どのように計算するのですか?

地震力の算定には、主に地上部分と地下部分で異なる方法を用います。まずは地上部分の層せん断力の算定方法から説明しましょう。

地上部分の層せん断力の算定

地上部分の層せん断力は、以下の式で計算されます。

地震力の算定式
地上部分の層せん断力
    $$ Q = Z \times Rt \times Ai \times Co \times \sum Wj $$

それぞれの記号は何を表しているのですか?

順に説明しますね。

係数の説明
  • Z: 地域係数。建築基準法や市の条例で定められ、地域ごとの地震の強さを考慮した係数。
  • Rt: 地盤と建築物の振動特性係数。軟弱地盤ほど大きく揺れ、建物の一次固有周期 \( T \) が大きいほど小さい地震力応答となる係数。
  • \( T < Tc \) の場合: $$ Rt = 1.0 $$ \( T < 2Tc \) の場合: $$ Rt = 1 - 0.2 \left( \frac{T}{Tc} - 1 \right)^2 $$ \( 2Tc < T \) の場合: $$ Rt = \frac{1.6Tc}{T} $$       
  • 一次固有周期T:(秒) $$ T = H(0.02 + 0.01 \alpha) $$
  • H: 建築物の高さ(m)
  • \( \alpha \): 建築物の高さ H のうち鉄骨構造である階の高さ h の比 \( h/H \)
  • Tc:地盤の固有周期
  • 第一種地盤: \( Tc = 0.4 \) ・第二種地盤: \( Tc = 0.6 \)・ 第三種地盤: \( Tc = 0.8 \)      
  • Ai: 高さ方向の分布係数。高層階ほど揺れが大きくなることを考慮した係数。
  •       $$ Ai = 1 + \left( \frac{1}{\sqrt{ai}} – ai \right) \times \frac{2T}{1 + 3T} $$ $$ai = \frac{\sum Wj}{W} $$
  • Co: 標準せん断力係数。一次設計では一般的に 0.2、二次設計では 1.0 が用いられる。
  • ΣWj: 最上部から対象層までの重量の総和。
  • W: 全重量。

なるほど。各係数にはそれぞれ意味があるんですね。次に、地下部分の算定方法について教えてください。

地下部分

地下部分の層せん断力は、以下の式で計算されます。

地下部分の層せん断力
    $$ Qbi = k \times Wbi + Q1 $$

この式の各項目は何を意味していますか?

説明しますね。

係数の説明
  • 係数 k: $$ k = 0.1 \times \left( 1 – \frac{Hb}{40} \right) \times Z $$ (ただし、Hb > 20 の場合は Hb = 20)
  • Wbi: 地下部分の重量。
  • Q1: 1階の層せん断力。

地震力と層せん断力の関係

地震力は上階ほど大きくなり、層せん断力は下階ほど大きくなります。これは、建物全体に作用する地震力が各階に分配され、その結果、下の階ほど多くの力を受け持つためです。

なるほど。上の階では地震力が大きく、下の階では層せん断力が大きくなるのですね。

その通りです。この関係を理解することで、建物全体の耐震設計を適切に行うことができます。


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まとめ

地震力とは? → 地震時に建物に作用する力。適切に算定しないと安全な設計はできない!

地上部分の層せん断力 → 地震力を各階に分配し、建物の揺れを考慮して計算する。

地下部分の層せん断力 → 建物の重量や地盤の影響を考慮して計算する。

地震力と層せん断力の関係 → 上の階ほど地震力が大きく、下の階ほど層せん断力が大きい。

地震力の基本を理解することで、建物の耐震性能をより適切に評価できるようになります。まずはしっかりと計算の流れを押さえて、実務に活かしていきましょう!本記事では地震力の算定式について書きました。

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