本記事では基礎設計時の地盤の変形の算出方法について記事をまとめます。
とりあえず、液状化の影響は無視して、液状化が発生する際は別の記事でまとめたいと思います。
最小に、地盤の変形を求める理由ですが、例えば杭基礎を設計する際は、基礎の設計用せん断力に加え、地盤の水平変位が実際には杭に生じることになります。
そのため、地盤の変形を算出し、杭に強制変位として外力を作用させる必要があります。
上記の理由で、地盤の変形を算出する必要がありますのでご注意ください。
地盤の水平変位の算出
基礎構造設計指針に基づき、算出することになります。
価格:6380円 |
本記事では、地震時の地盤の水平変位は簡易算定法(算定法:応答スペクトル法)によって求める。
地盤の初期S波速度は下式により求め、本記事では計算上の土質は粘性土として扱う。基本的には、PS検層により算出するため、地盤調査報告書によることが多いです。
Vs=69N^0.17 (H/H0 )^0.2 Yg×St
ここに、Vs (m/s):せん断波速度
N:層の平均N値、
H(m):地表面から層の中心までの深度
H0(m):基準深度(=0.01)
Yg:地質年代係数(沖積層1.0、洪積層1.3)
St:土質に応じた係数(粘性土1.0、砂質土・砂礫土1.1、礫質土1.4)
続いて、地表変位の算定方法について下記に示します。
表層地盤の厚さΣHi(m)
地盤の初期固有周期:T0=4ΣHi/Vs0i
地盤の固有周期の延び:α=1+LZCaT0/ΣHi、ただし、α≦4.0
地震荷重の加速度一定領域の駅用を考慮する補正係数:fa=min(1.6αT0,1)
地盤の表層と工学的基盤の初期インピーダンス比:Rz0=ΣγiVs0iHi/(γbVsbΣHi)
ここに、L:地震荷重レベルにより定まる定数(レベル1で0.2、レベル2で1.0)
Ca:表層の土質の動的変形特性から決まる定数(粘性土で25、砂質土で40)
地震荷重を地表で設定する場合:Dmax=C1 (α^2-1) fa ΣHi {C2 (1-1/α^2 )+(2Rz0)/α}
C1:表層の土質の関係から決まる定数(粘性土で0.0028、砂質土で0.0015)
C2:表層の土質の減衰特性から決まる定数(粘性土で0.53、砂質土で0.66)
続いて、地盤の水平変位の深さ方向分布の算定方法を示します。
地盤を単位面積土柱に対応する基礎固定の多質点-等価せん断ばね系に置換します。
地表から第i番目の質点の質量は、表層の各層の厚さ Hi(m)と単位体積重量γi (kN/m3)および重力加速度g (=9.8m/s2)より下式で求めます。
mi=1/2 (γ(i-1) H(i-1) +γi Hi)/g、(i≧2)
質点の水平変位の深さ方向分布を、下記の漸化式を用いてで無次元化した地表における変位から工学的基盤の上面におけるまで順次計算します。
u(i+1)=ui-40/(ki (αT0 )^2 ) ∑(j=1)^i(mj uj )
ここに、 ki(kN/m):地表から第番目の等価せん断ばね剛性 ki=(γi/g) (VsEi^2)/Hi
VsEi=((γi VS0i)/(γB Vsb ))^2 Vs0i
ただし、 β=3/4 (1-1/2^(α-1) ) 1/(1-Rz0 )
次に、無次元化水平変位が地表で1、工学的基盤の上面で0となるよう、各質点の水平変位を下式により調整します。uN+1は工学的地盤面での値となります。
ui*=ui-uN+1/(1-uN+1)
まとめ
本記事では、地盤の水平変位の算出方法についてまとめました。
簡易法の応答スペクトル法によって求める方法について紹介しました。
手順としては、①地表変位の算出 ②深さ方向分布の算出になります。
深さ方向の分布では地表面で1、工学的地盤面で0となることを忘れないように注意しましょう。